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2018-12-152018/12/15

企業における行動指針とは?果たす役割と作り方、5つの事例から考える効果的な行動指針

行動指針


社員に同じ方向・同じ目標に向かって仕事をしてもらうには、「行動指針」が必要です。「行動指針」が社員に浸透している企業は組織力が強く、企業としても成長していきます。

では、「行動指針」は企業において、どういった役割があるのでしょうか? また、どのようにして作るものなのでしょうか?

こうした疑問を抱えている経営者のために、「行動指針」の果たす役割と作り方を解説します。「行動指針」を作成する上で参考となる事例を5つご紹介しているので、そちらもぜひご覧になってみてください。

行動指針とは?

行動指針は、社員が行動する際に意識すべきことを具体的に示したものです。言い換えれば、【行動の前提】となる取り決めのことで、企業が社員に求める【行動の基準】を行動指針として定めます。

行動指針は、経営理念を達成するために、具体的にどのように行動するべきかを明確にするものです。行動理念との違いは後述しますが、行動理念を掲げることにより、企業に属する一社員として、どう行動すべきかを示します。

行動指針には、企業の個性が現れるものです。100の会社があれば、100の行動指針があり、企業によって大事にするものが違うので、正解はありません。

後ほど事例も紹介しますので、他社の行動指針も参考にしながら、社員の行動の規範となる指針を考えていきましょう。

企業における行動指針が果たす役割

経営理念は社員全員が一丸となって目指すべき目標ですが、それだけでは具体性に欠けます。行動指針を設定していないと、社員の行動がバラバラになってしまい、経営理念の達成ができません。

経営理念という【目的地】に対し、行動指針は【コンパス】の役割を果たします。社員が行動に迷った時に方向を見失わないよう、あらかじめ具体的な行動の基準を定めたものが行動指針です。

また、行動指針は顧客やパートナーに対して、「自社の社員はこのように行動します」と示す意味もあります。たとえば、「お客様の視点で考えて行動します」という行動指針を見た人は、「顧客を大事にする企業」という印象を受けることでしょう。

行動指針で「〜します」と宣言することで、社員の自発的な行動を促すという狙いもあります。「〜すべき」だと受動的になってしまうので、「〜します」で揃えるようにしましょう。

行動指針の役割

行動指針と行動理念の違い

行動指針と行動理念は、しばしば混同して使われます。定義があいまいな部分もあるので難しいところですが、それぞれ異なる意味を持った言葉です。

行動理念は、「行動する際の理由となる考え方」を意味します。もう少し丁寧に説明すると、一社員として「こういう行動をとるべき」という考え方の基準となるものです。

行動の概念を示すものであり、具体性を示す指針を包括するものと考えてください。考え方の順番は、「行動理念」→「行動指針」となります。

行動指針は、行動理念を達成するために、どのような行動をとるべきかを示したものです。まず行動理念という概念があり、それに対して行動指針で具体的な行動の規範を示します。

ただ、行動指針の中に行動理念を含めている企業も多いので、そこまで明確に区別する必要はありません。一番大事にすべきなのは、会社が社員に求める行動の基準をしっかり伝えることです。

行動理念については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にご覧ください。

行動理念とは何か?企業における役割と意味、その作り方を一から解説

行動指針の作り方

行動指針は、経営理念を実現するためのものです。経営理念という目標を達成するために、社員にどういった行動をとってもらいたいのかを考えてみましょう。

行動指針は箇条書きにし、各文は短くした方が伝わりやすいです。一文に収まりきらない場合は、補足説明を添えるといいでしょう。

社員が唱和しやすい内容であることが望ましいので、口に出して読んだ時の心地よさや文のリズム感も意識してみてください。無理に語呂を合わせる必要はありませんが、社員が行動に迷った時にパッと頭に浮かぶ内容であるのが理想です。

上述したように、行動指針は顧客やパートナーに社員の行動を示すものでもあるので、その点も意識してみてください。

行動指針のサンプルが出来上がったら、紙に書き出して持ち歩き、ことあるごとに読み返すようにしましょう。これは経営理念の作り方を解説している記事でも紹介している方法ですが、時間を置いて客観的に案を見る期間を設けることが大事です。

特に行動指針は、実際の行動に関わるものですので、頭の中で考えたこととズレが生じる場合があります。顧客やクライアントと接した時に役立つ内容であるかを、行動に照らし合わせ、どんどん昇華させていきましょう。

経営理念の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

経営理念とは?社員の成長が加速する経営理念の作り方 5つのステップ、参考にしたい事例7つも紹介

行動指針の事例

作り方がわかったところで、実際に企業が掲げている行動指針を見てみましょう。経営理念とあわせて見ると、より行動指針の意図が理解しやすくなります。

顧客として行動指針を見た時に、どういう印象を受けるかも考えながらご覧になってみてください。「信頼できそう」と感じたのであれば、なぜそう思ったのかを掘り下げてみると、本質が見えてくるでしょう。

同じことを言っていても、表現の仕方ひとつで印象は変わるので、その点にも意識して読むことをおすすめします。

事例1. ローソン株式会社

1. お客さま、マチ、お店を起点に考えます。
2. 基本を徹底し、革新に挑戦します。
3. 仮説、実行、検証の質とスピードを高めます。
4. 規律のもとで自律し、チームでやりぬきます。
5. 自己の成長を求め、仲間の成長を支えます。

出典:ローソン株式会社

ローソンの行動指針は、「マチ」をカタカナで表記しているのが印象的です。これを漢字で「町」や「街」と表記すると、印象がまた違ってきますよね。

ローソンは企業理念を「私たちはみんなと暮らす”マチ”を幸せにします」をしているので、「マチ」を軸にした行動指針であることがよく伝わります。しっくりこない時は、このように表記を変えてみるのもひとつの手です。

事例2. 株式会社パルコ

経営理念に基づく行動指針
1. 顧客第一主義
2. テナントとのイコールパートナー主義
3. 先見性
4. 独創性
5. おもてなしの心(ホスピタリティ)

企業人としての行動指針
6. 責任・誠実
7. 挑戦・情熱
8. 個性・共有
9. ヒト・協力
10. 発展・成長
出典:株式会社パルコ

池袋PAROCOを中心にファッションビルを展開する、株式会社パルコが掲げる行動指針です。各項目の補足説明の掲載は割愛していますが、「経営理念に基づく行動指針」と「企業人としての行動指針」をそれぞれ5項目で宣言しています。

経営理念にも「テナントを成功に導く」と書かれていて、顧客と社員だけでなく、テナント向けにも宣言している点に注目してみてください。「テナントの成功・成長が、初めて私たちの成功・成長をもたらします」と説明しており、パートナーであるテナントを大切していることがよくわかる行動指針です。

事例3. パイオニア株式会社

パイオニアでは、企業理念である「より多くの人と、感動を」を実現するため、パイオニアグループのすべての役員・従業員が一丸となり、常に時代の最先端で市場を創造していく先駆者であり続けることを目指しています。また、企業の社会的責任を自覚しながら企業活動を積極的に進めていくことで、社会から信頼される企業であり続けるように努めています。

出典:パイオニア株式会社

パイオニア株式会社は、1937年創業の老舗音響メーカーです。パイオニアでは、「ビジネス・エシックス(企業倫理)」を兼ね備えた行動指針を定めています。

企業倫理は、コンプライアンス(法令遵守)も包括する企業の道徳性を示すものです。企業倫理も社員の意識決定の基準であるため、このように行動指針に盛り込むこともできます。

事例4. Jトラスト株式会社

J / Justice / 公正な企業経営を行います。
T / Teamwork / 経営の根幹である「人」の個性を活かした組織を作ります。
R / Revolution / 常に革新志向で価値創造を行います。
U / Uniqueness / 当社の独自性を大切にします。
S / Safety / お客様、ステークホルダーの皆様に安心いただけるよう努めます。
T / Thankfulness / 感謝の気持ちを忘れません。

出典:Jトラスト株式会社

Jトラスト株式会社は、金融事業・不動産事業・アミューズメント事業などを手がける会社です。社名の英表記「JTRUST」の各アルファベットに英語を割り当て、それに準じた行動指針となっています。

このように、社名に掛けた行動指針を考えるのもいいかもしれませんね。社員も社名と連動して行動指針を思い出せるでしょうし、印象に残りやすいので、自社名で作れそうなら一度考えてみてはどうでしょう。

事例5. 株式会社メルカリ

Go Bold – 大胆にやろう
All for One – 全ては成功のために
Be Professional – プロフェッショナルであれ

出典:株式会社メルカリ

フリマアプリを提供する株式会社メルカリでは、行動指針として3つにバリューを掲げています。非常にシンプルでわかりやすく、メルカリという企業が求める行動が集約された指針です。

特に最後の「プロフェッショナルであれ」というバリューは、社員の仕事に対する意識と高めるのに効果的であると思います。「あれ」という命令口調を使うことで、自覚を促すのが狙いなのでしょう。

行動指針を人事評価に反映する

行動指針と人事評価を切り離して考えている企業は多いですが、両者は密接に関係しています。

行動指針を守っているのに評価されないと不満を感じるでしょうし、行動指針を守らない社員を評価すれば、それもまた不満のもとになるでしょう。成果を出していても、自分勝手な行動で社の規律を乱す人材であれば、行動指針の項目に関しては低く評価するべきです。

社の指針に沿った行動をとっている社員に対しては、正しく評価してあげてください。成果が伴わない社員もいるかと思いますが、行動指針を理解し実践しているのであれば、将来、会社を支える人材となってくれるでしょう。

人事評価では、行動指針に対する理解を促すことも大事です。なぜ、我が社はこの行動指針を掲げているのか、それをきちんと説明するだけでも社員の意識は変わります。

「社員が行動指針に納得した上で実践する」ことが重要です。行動指針の言葉だけでは正しく伝わらないこともあるので、経営理念を達成するために、なぜこの行動指針に沿うことが必要であるのか、経営者や幹部の口から伝えてみてはどうでしょう。

おわりに

行動指針を見れば、その会社の性格がわかります。他社の行動指針を参考にする際は、顧客として見た時にどういう印象を受けるかを考えてみてください。

違和感のある箇所は何度も手直し、納得いくまで練っていき、自信を持って社員に提示できる行動指針を作り上げていきましょう。ちょっとした表現を変えるだけで印象は違ってくるので、他社の事例を参考にしながら、どういう言葉を使えば伝わりやすいのか、じっくり考えてみてください。


[最終更新日]2018/12/15

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